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第千十話_short 仕事 [超短編]

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第千十話_short 仕事 

「もう、こんな仕事は嫌だ!」

 

 たけしが言うと、一緒に仕事をしていた父親がたけしを睨めつけて言った。

「お前は嫌だ嫌だって文句を言うばかり。そんなんでは父ちゃんみたいになれないぞ」

「ぼく、父ちゃんみたいな大人にはなりたくない!」

「なんだ? なんてことを言うんだ! 謝れ!」

「嫌だ、本当のことだもん、謝らない!」

 父親は頭を抱え込んだ。なんでこんな子になったんだろう。俺が子供の頃には喜んで父親の仕事を手伝ったのに。

「父ちゃん! 誰か帰って来た!」

「なにやってんだ! お前が四の五の言ってるから!」

「ああっ! もうそこに!」

「は、早く逃げろ! つかまっちまう!」

 ふたりは入ってきた窓から急いで他人の部屋を出た。

                                了


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第千九話_short 恋人 [超短編]

 

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第千九話_short 恋人

 

「これからも、恋人同士でいような」

 男が言うと、即座に新妻が答えた。

 

「あら、それは無理よ」

「どうしてだ?」

「だって、私は妻帯者とは恋をしないことに決めてるんだもの」 

                                了


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第千八話_short 若者 [超短編]

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第千八話_short 若者 

「仕事も失って、もうどうしたらいいのか……こんな世の中嫌になった」

 若い方の男が年上の男に言った。

「そう言わずに頑張ってみろ、お前さんはまだ若いんだから」

「そうかなぁ。もう充分に生きましたがね」

「なにを言う、定年退職者なぞ、わしから見りゃまだまだ若造だぞ」

                             了


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第千七話_short  結婚 [超短編]

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「どうしてなの?」

 真理は叫んだ。

「男だったら親友と呼べるような女と結婚したいと言ったでしょ?」

 俺は答えた。

「ああ、そういった。ジョセフ・ジュベールの言葉だ」

「わたしは親友でしょ?」

「確かに……そうだった」

「だからわたしは身も心も女になったの、あなたのために! なのにどうして?」

「……だって……俺は……男しか愛せないんだ」

                                了


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第千六話_short  生きがい [超短編]

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 いったい何のために生きているのだろう?

 

 ぼくはなにをするために生まれてきたんだろう?

 生きる目標を失いかけていたぼくは、思い切って村の長老に訊ねた。

「ぼくは、なんのためにこの世にいるのですか?」

 長老は答えた。

「馬鹿者。ゴミを貯めるために決まっているじゃァないか! お前はゴミ箱なんだぞ!」

                            了


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第千五話_short  死に体 [超短編]

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 墓場の掃除をしていた墓守に話しかけるものがいた。

「ああ、もう嫌だぁ。毎日同じことの繰り返しで」

 墓守は答えた。

「なんだよ、毎日ふらふらしているお前なんかの台詞か?」

「それが嫌だぁ~もう死んでしまいたい~」

「ばぁか、お前はもう死んでるんだよ、ゾンビだろ?」

                            了


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第千四話_short  王様 [超短編]

 人々に向かって男が叫んだ。

「私は王だ。皆の者、私に従え!」

 人々の中から声がした。

「お前が王だなんて、誰が決めたのだ!」

 すると男が答えた。

「私を王にしたのは、全能の神だ。神が決めたのだ」

 

 そのやり取りを聞いていた私はたまりかねて叫んだ。

「私は、そんなこと決めた覚えはないぞ!」

                            了


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第千三話_short  神様 [超短編]

「神様、お願いです。私を救ってください」

 洞窟の奥に祭られた祭壇に向かって手を合わせる男に声が聞こえた。

「男よ。この世に神などいないのだ。だから願い事をしても無駄だ」

「そ、そんなバカな! こんなに悪が蔓延っているのに」

「神はいないが、悪魔はいるのだよ、お前たちの心の中にな」

 男は納得して自分の心を開放した。

                            了


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第千二話_short 願い [超短編]

 たんすの引出しから現れた妖精が言った。

「あなたが正直に真面目に生きてきたご褒美をあげよう。ひとつだけ、望みを叶えましょう」

「それなら・・・あまりにも凡庸で醜い私のこの顔を、中身にふさわしいものにしてください」

「わかりました。正直で真面目なあなたの内面にふさわしい容貌にしてさしあげましょう」

 妖精の杖が光って魔法の粉が私の顔面に降り注いだ。

 妖精が消えるや否や私は鏡を取り出して覗き込んだ。

 大きなまるまるした目が丸顔の隅々を確認していたが、なにひとつ変化したようには思えなかった。

 正直者そのものの顔が相変わらずそこに映っていた。

                                              了

※毎日書き起こしの超短編小説「千一話物語」が、昨日、二年と二百七十一日を経て昨日千一話目に到達しました。眉村卓さんに倣って千七百七十八話まで続けようかとも思いましたが、しばらくはぼつぼつと、もっと短いショートショートを、ほぼ日、あるいは思いつくままに書いていこうかなと思います。

これからも、よろしくお願いします。

 


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第千一話 始まりの終わり [文学譚]

 ひと晩中風が吹いていた。マンションの窓を閉め切っているから部屋の中は平穏そのものだったが、耳を澄ますと荒れ狂う風の叫びが聞こえて気持ち悪くなった。

 一夜明けると空は真っ青で昨夜なにがあったのか素知らぬ顔で太陽が見下ろしていた。今回の台風はこの街をかすめただけなのでまったくその形跡もなく、窓から見下ろす先にはいつも通りの街並みが続いていた。

 着替えをしながら今日の予定を思い起こす。細かいことは手帳に記入しているが、行くべきところ会うべき人など主だったことは頭の中に入っていて、その相手によって何を着るべきかを考えるのが習慣なのだ。

 今日の予定はなにもなかった。どこにも行かないし、誰とも会わない。そんなときは白いシャツを着るでもなく、かしこまったスーツを選ぶでもなく、自分が心地いい衣服を選ぶ。仕事着には多少派手かと思ったが柄シャツにジャケットを合せることにした。

 ほんとうに今日はなにもなかったっけ? なにか大事なことを忘れていないだろうか?

 歩道を歩きながら少し不安がよぎる。なにも仕事がないなら休んでしまってもよかったのかも。ちょっと後悔する。

 毎日さほど仕事があふれているわけではない。適度な数の案件をのらりくらりとこなす程度でやっていける会社はありがたいなと思う。毎日なにも考えずに同じことを繰り返しているだけでお金がもらえるなんてほんとうにありがたい。

 ぶつぶつ独り言を言いながら歩く。そうすると会社までの道のりを遠く感じなくて済む。考え事をしながら歩くのが癖だから、道で誰かと出会ってもたいていは気がつかないままに通り過ぎてしまう。

 気がつくと会社が入っているビルの前に着いている……はずなのだが、ビルはなかった。え? 間違えた? あたりを見回すが、いつもの見慣れた街並みがあった。なのに会社のビルだけがすっぽりなくなっている。

 こんなことってあるのだろうか。ビルが建っていた場所は、広い空き地になっている。ゆうべビルが取り壊されたのなら、そこは工事現場のようになっているはずだ。だがそうではなく都心の広場みたいになっている。

 どうしよう。会社がなくなっちゃった。家に帰るか? うん、帰ろう。だけど会社がなくなったってことは、仕事がなくなった? お給料がなくなる? 大変だ! どうしよう。

 しばらくそのあたりをうろうろしながら考えた。ビルが建っていた向こう側にも行ってみた。こちら側から見えないだけかもしれないと思ったから。だけど、どこからどう見ても建物は影も形も見えなかった。

 つまんないけど楽ちんな仕事が懐かしい。あの単調な日々を返してほしい。

 なにもない空き地をもう一度眺めてから決心した。入口のあったあたりから、なくなったビルのなかんい入れるかもしれない。そうだ、そうしてみよう。

 わたしは確かに自動扉があったはずのあたりに歩いていき、いまとなっては何もない場所にあたかも入口があると信じてビルに近づいた。建物はない。ぼくは目をつぶり、ビルはあるんだと信じて、その中に入っていった。

                                              了


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